出勤拒否 #17

09 出勤拒否




終わりが見えない業務がようやく終わった。

やればやるほど、気になることが出てくる業務。

気になることを残したまま、タイムアップ。

締切を迎えた。

「本当に大丈夫なのだろうか」

そんな心配はある。

だが、とりあえず終わった。

この仕事の終わりとともに、心は少し落ち着いている。

耳鳴りは毎日のようにある。

しかし、苦しくなることは少なくなった。

めまいを感じることが少なくなった。

終わりが見えない業務が終わったからであろう。

窮地から、私は脱出したのだ。

だが、油断は禁物。

日々、自分の心を落ち着かせることを第一に過ごした。

そんな時、あることが起きた。

思い起こせば、昨年度。
初任の交流会があった。

その時に、以前勤務していた学校の保護者がいた。
その保護者も教師だった。

そして、同じ年に、都道府県教育委員会に赴任した。

「奇遇ですね」

そこから、仲良くなった。

仲良くなったと言っても、たまに話をする程度。

数日に1度ほど。

課が違うので、関わりはない。
席も離れている。

終わりのない業務が終わり、少し落ち着いた私。

こんな声が聞こえてきた。

「机の上に、なぜ段ボールが置いてあるのだろう」

なんのことだろうと、聞いてみると、最近出勤していない人がいて、その人の机の上には段ボールが置いてあるのだという。

「どういうことだ」

もしかして…その人は、休養に入ったのでは?

そう。

「お休みに入った」

事実、そうらしい。

その人は、精神的なことを理由に休養に入ったらしい。

「机の上に段ボール」

本人はもう来ないらしい。

段ボールを本人の自宅に送り、都道府県教育委員会から異動となる。

今年度末まで、休養になるらしい。

この噂を気にしていたが、わざわざ確かめることはせずに仕事を続けた。

翌日、仲良くなったあの人の様子を見ようと、その課の近くを通った。

顔が見えない。

「そうか、今日は休みか…」

ふと、机の上が目に入った。

段ボールが置かれていた。

休みに入ったのは、その人だった。

数週間前までは、元気そうだった、

私が苦しんでいる間に、何があったのだろう。

2年目は鬼門なのか?

2年目は1年目より、仕事が増える。

そして、1年目の蓄積した疲れもある。

夏休みもない教育委員会。

慣れない仕事、都道府県教育委員会で走り続ける。

もがいて、ようやく1年目を走り切った。

そして、休むまもなく2年目が始まる。

1年目より過酷な道を走る。

「2年目は1年目よりは大丈夫だろう」

そう思うのが普通。

だが現実は違う。

1年目より苦しい。

でも走り続けなければならない。

「もう、走るのをやめたい」

そう、体も心も言っていたのであろう。

「お疲れ様でした」

「ゆっくり休んでください」

私は…走り続けたい。

拒否反応に打ち勝ちたい。

「都道府県教育委員会はサバイバルだ」


コメント

タイトルとURLをコピーしました