ビッグプロジェクト #7

10 ビッグプロジェクト




チームC。

最後に紹介するチームC。

業務としては、5チームの中で最も多く、そして難しい。

昨年度は、チーム全員が新人。

つまり、前任の3人のうち、誰1人として残らなかったチーム。

それは、業務の過酷さを物語っている。

しかし、その3人はやり遂げた。

たくましさと巧みさを兼ね備えたチームが出来上がった。

その1人は部署の事情で、今年度はプロジェクトから外れた。

新人3人であった1年を乗り越えた2人と、新人1人。

経験者の2人がチームを牽引し、最も過酷な業務を担うチームでありながら、プロジェクト全体を牽引しかねないポテンシャルを秘めていた。

予想通り、チームCはスタートから走り出した。

それは勢いではない。

前年の実績と自信。

計画的に、そして、創造性に富んでいた。

確実に進め、確実に不安要素を潰していく。

経験者の2人が、1年目の反省点のもと、邁進していた。

しかし、それは、新人には酷すぎるものであった。

私は、プロジェクトの全体責任者として、年度初めから、プロジェクトを進めてきた。

ある程度は、決まったことを進める日々。

そんな日々に突然、チームCの新人から声をかけられた。

「辛い」

「辞めたい」

チームCの経験者2人の邁進ぶりは、ベテランも含め、プロジェクトチーム全体の中でも、誰もが認めるものであった。

そこには、「力」であり、確実な「結果」へとつながるものであった。

しかし、だからが故に、新人にとっては、「過酷」であった。

2人がチーム全体の業務を牽引していく。

新人は、比較的簡単な業務を任される。

しかし、経験者2人が満足するようなものはできない。

できるはずがない。

新人であり、経験者2人の目指すレベルは高い。

新人は懸命に頑張った。

だが、認められることがない日々が続く。

「辛い」

「辞めたい」

そう思うのは必然であった。

新人の悩みを聞いた。

思いを聞いた。

愚痴を聞いた。

とにかく聞いた。

ビッグプロジェクトは、簡単にやり切れるものではない。

まだ、1ヶ月。

この新人の苦しみは、まだ序の口。

ビッグプロジェクトに初めて関わった者が、まず最初に感じる苦しみ。

「苦しいかもしれないが、チームとしては順調に進んでいる」

「どのチームより進んでいるが故に、今は苦しい」

「これを乗り越えれば、後半は苦しまなくて済む」

新人の思いを聞きながら、私は自分自身が感じていることを正直に伝えた。

そんな日々が続いた。

新人は苦しみながらも、5月、6月を乗り越えた。

チームCは邁進した。

歴代、プロジェクトを牽引していたチームBを追い越し、チームCはトップを快走した。

そう。

この夏は、チームCがプロジェクトを牽引した。

トップを快走した。

続いて、チームB。

そして…やや離れて、我がチームD。

チームAとチームEが最下位を争う。

新人からの相談が一段落したと思った矢先、2つのチームの対立が始まった。

チームBとチームC。

プロジェクトを牽引する2チームの対立。

これを解決しなければ、プロジェクト全体へ影響が及ぶ。

全体責任者として、大きな試練が訪れた。


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