ビッグプロジェクト #8

10 ビッグプロジェクト




歴代、常にトップを走ってきたチームB。

そして、新メンバーばかりの1年目を乗り越え、台頭してきたチームC。

その衝突は、夏に訪れた。

チームCは年度初めから、邁進した。

前年度、メンバー3人が全て新人であったチームC。

そのチームを牽引した2人。

2年目への熱意は、凄まじいものがあった。

とにかく計画的に。

そしてストイックに。

チームCの快進撃は止まることなく、夏を迎えつつあった。

一方、チームB。

そう慌てなくても、業務としては負担が少なく、歴代、常にトップを走ってきた。

懸命に業務を進めるチームCを追走するチームB。

余裕の追走か。

そう思っていたが、そうではなかった。

常勝チームは、決して万全ではなかった。

リーダーは、昨年度までプロジェクト全体の中心的存在であったがベテラン。

しかし、いまいちまとまっていない。

明らかに昨年度よりも、業務の精度が下がっている。

中心的存在で力を発揮したからといって、リーダーが務まるのかは別の話なのか。

リーダーのリーダーシップの欠如もあり、チームの意識も低いようだ。

「これくらいでいいでしょ」

こういった言葉が聞こえてくるようになってきた。

夏を迎える頃には、チームCとチームBの差が開き始めた。

そんな矢先に、全体での意見交流の場があった。

そこでチームCの提案に対し、チームBから意見が出た。

たわいもない意見ではあった。

しかし、小さな認識のズレから、話し合いは少々後味の悪いものとなった。

原因は、チームCの新人の発言。

言うべきではないことを説明してしまったが故に、チームCの提案がブレのあるものに感じられる結果となった。

よくないことは重なる。

この日、チームCのリーダーは別業務で欠席していた。

「リーダーがいれば、こんなことにならなかった」

私は、そう感じた。

翌日、チームCのリーダーが、声をかけてきた。

「お話ししたいことがあります」

「わかりますよね。昨日の意見交流のことです」

嵐は突然やってくる。


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