ビッグプロジェクト #9

10 ビッグプロジェクト




チームCのリーダーから声をかけられた。

「お話ししたいことがあります」

「わかりますよね。昨日の意見交流のことです」

不満を抱いていることは間違いない。

「チームの2人から聞きました」

「提案に問題があったとは思えません」

確かにそうである。

提案には問題はなかった。

原因は新人の発言。

それを私は説明をした。

私は声をかけられるのではないかと予想をし、説明する材料として準備をしていた。

「原因は新人の発言」

これは間違いのない事実。

そこにもう少し重みを持たせる必要を感じた。

4月からの様子を思い出してみた。

チームCはリーダーを中心に、統率が取られている。

しかし、時折、乱れるときがあった。

リーダーの説明に対し、新人が不要な発言をしたときだ。

「それは今、関係ありません」

リーダーが新人の発言を制することが2度ほどあった。

それを思い出した。

「原因は新人の発言です」

「その発言が混乱を招いたと私は思っています」

「これまでも、あなたは、新人の発言を制することがありましたよね」

「昨日、あなたがいたら、同じように新人の不要な発言を制していたと私は思います」

「あなたがいれば、混乱はなく、問題なく意見が通ったと思います」

リーダーは納得したようだ。

私は安堵した。

しかし、話が別の方向に進んだ。

「チームBは、嫉んでいる」

「チームBは、自分たちより進んでいるチームCを妨害しようとしている」

そのとき私は気がついた。

問題は昨日の意見交流のことだけではない。

問題は根深い。

そして、2度目の衝突が起きるべくして起きた。


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