#6 収容所

03 教育委員会




ハードな仕事。
夜中まで仕事をする毎日。

仕事量は今の10倍

仕事中も、自分の仕事で精一杯

だが、わからないこともある。

前任者に聞きたい。

これはどんな仕事でもそうだろう。

隣に前任者がいる。

当然、仕事を懸命している。

申し訳ないと思いつつ、思い切って聞く。

「これ、昨年度はどうしました?」

みんな凄い仕事量。

この人もそうだ。

その仕事の時間を奪って、昨年度のことを聞く。

本当に申し訳ないが、そうするしか、自分の仕事を進める術がない。

「昨年度のことが詳しく分かれば、仕事が進む」

そう期待した。

だが、意外な返事が返ってきた。

「覚えていない」

これは意地悪ではない。

この人が記憶力のない人、なのではない。

昨年度、地獄のような仕事量。しかも、上司に直されまくり、叱責を受け、理不尽な仕打ちを受けて、仕事していた。そこに、自分の考えは残っていない。苦労して作った文書は、上司に真っ赤にされ、叱責されるがために、ただただ言われるがまま、仕上げた。覚えていないのが当然だ。

諦めるしかない。

昨年度のデータや簿冊をもとに自分で考えるしかない。

上司に直され、叱責されることをわかっていても。

疲れ果てた頃、昼食の時間。

昼食後は、

「昼寝」

昼寝と聞くと、のんびりした感じがするが、大間違い。

昼寝して休まないと、この日を乗り越えることができないのだ。

私が行く世界。

これは教育委員会という名の

収容所。


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