#24 最恐ミッション⑧

07 人生はゲーム




「最恐ミッション」をわずか、4日でクリアした。

そう思っていた。

もちろん、間違いである。

翌朝、ラスボスが、我がボスのところへ。

こういうことは、滅多にない。

「中身がないから、作り直し」

そんなことを言って、ラスボスは姿を消した。

何のことだろう。

しばらくすると、ボスが近寄ってきた。

「これの資料を机の上に置いておいて」

出張を前に私への指示。

それは

「当日用挨拶のための資料」

そう、中身がないから作り直し。

それは、「当日用挨拶」であった。

「私の手から離れた」

そんなのんきなことを考えていた。

自分のことしか考えていなかった。

ボスへの申し訳ない気持ちをもとに資料を集め、ボスの机に。

申し訳ない気持ちはあるが、私の能力の限界。

「お願いいたします」
と心の中でつぶやきながら、資料をボスの机に置いた。

翌日の朝、出勤すると、ボスの作成した「当日用挨拶」が私の机上に。

ボスが出勤した。
私はすぐにボスのもとに。

「ありがとうございました」

「教育長の秘書に渡しておいてください」

その日の午後。
別の課の人と話をする機会があった。

その話の中で、出てきたのが昨日のこと。

「昨夜、あなたの課の課長、めずらしく遅くまで仕事をしていたよ」

…言葉が出なかった。

うちのボスは定時に帰る。

そのボスが、20時頃まで、残って仕事をしていたというのだ。

「実は、当日用挨拶を作成するのを、忘れていて…」

「それは、大したことじゃない。もっと大きな仕事が来ているからだよ」

そうなのだろう。

仮にそうだとしても、ボスに迷惑をかけてしまった。

忘れていた「当日用挨拶」
忘れていたが故に、1週間程で、ミッションは完了。

「ラッキー」
だと思った自分がいた。

そう思った自分が恥ずかしい。

自責の念を残して、私にとっての初「最恐ミッション」は終了した。

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