スライムくん。
いつもと変わらず、スライムくん。
私は日々癒やされている。
そんなスライムくんに大ピンチが。
スライムくんがいないところで、スライムくんが話題になっている。
正直、ほとんど話題にならないスライムくん。
いても、いなくても、周りにはあまり影響がない。
実際、数日間休んだときも、特に何もなく、他の人達は仕事をしていた。
そして、何もなかったように、スライムくんは出勤し、仕事をしていた。
そんなスライムくんが話題に。
もちろん、良い意味ではない。
悪い意味だ。
「あの業務のこと、どうなっているのだろう」
スライムくんの業務である。
しかも、今回は、多くの人が携わる。
それを束ねるのが、スライムくん。
心配だ。
そして…スライムくんは、すべきことをきちんとできているのだろうか。
話を聞いていると、スケジュール的にかなり遅れているようだ。
他の人は、やきもき…いや、イライラしているのに、スライムくんは、一向に動き出す様子がない。
(これは、大変だ)
そう思った私は、スライムくんに聞いた。
何気なく聞いた。
「例の件、どうなっていますか?」
「大丈夫」
あれ?聞いていた話と違う。
もう少し聞いてみた。
「気にしている人がいるけど」
あえて、「怒っている」とは言わなかった。
するとスライムくんは…
「そうかあ。でも、仕方ないので」
よく話を聞いていくと、仕方がなくない。
全く、仕方がなくない。
「ただただ、遅い」
関係のない私でも、
「これは、遅過ぎる」
「大丈夫と言っているスライムくんは、ヤバい」
さすがに、私も、これは言っておくべきだと思い、他の人達が「心配している」ことを伝えた。
「そうかあ。また、話ししてみる」
おお。スライムくんのノンビリさが恐ろしい。
「明日、あさイチで話しした方がいいですよ」
「そうかあ。じゃあ、準備しておく」
そう言ったスライムくん。
いつになく真剣な面持ちで仕事をしていた。
(ようやく、ことの重大性が分かったのかな)
さて、定時となった。
危機が迫っているスライムくん。
いちおう、声をかけた。
「帰りますか?」
「帰るよ」
明日、大丈夫なのだろうか。
そう思いながら、退庁する。
このときのスライムくんは、まだ元気であった。
翌日から、スライムくんは、無口になる。
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