出勤拒否 #16

09 出勤拒否




なんとか出勤できた。

今日はなんとか出勤できた。

「明日から大丈夫か」

不安で心がいっぱいになった。

そんな心配をよそに、始業となった。

その日は忙しかった。

だから、よかった。

自分のことを考える余裕がなかった。

無事、仕事を終えて、帰宅した。

「明日は大丈夫だろうか…」

「電車に乗る前に、また、苦しくならないだろうか」

「電車の中で、めまいがしたらどうしよう」

心配で、苦しくなる。

「辛い」

だが、休むわけにはいかない。

翌日。

家を出て、駅に向かう。

「大丈夫だ…」

駅のホームに着いた。

「大丈夫だ…」

電車がホームに入ってくる。

「苦しく…」

「電車に乗るのが怖い」

深呼吸。

深呼吸。

電車に乗り込む。

深呼吸。

深呼吸。

必死に席を探す。

なんとか座れた。

ホッとした。

しかし…苦しい…

車窓から、遠くをみて深呼吸。

ゆっくりと、深呼吸。

なんとかおさまった。

どうしてしまったのだ。

今日は、不安になるような業務はない。

なのに、体が拒否反応を示す。

学校に勤務していたとき、不登校の児童生徒をみてきた。

「なぜ教室に入れないのだ」

廊下まで来ても、教室に入れない子もいた。

当時は、理解できなかった。

理解しているつもりで、

「無理しなくていいよ」

そう声をかけた。

今なら理解できそうだ。

「入ろうとしても、入れない」

「気持ちだけの問題ではなく、体が拒否反応を示す」

「苦しくて、苦しくて、入りたくても入れない」

今なら分かる。

その苦しさ。

帰宅して調べた。

「不登校」

そして、

「パニック障害」

まさに今の私はそうだ。

このまま、休みに入ってしまうのか。

そして、都道府県教育委員会で、勤めきれず、現場に戻るのか。

教師人生の終盤に、このようなレッテルを貼られ、終わりを迎えるのか。

「嫌だ」

「絶対に嫌だ」

「悔しい」

でも

「どうしようない」

「何もできない」

また、朝が来る。。

ただただ

「怖い」


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