出勤拒否 #15

09 出勤拒否




翌日。

朝の耳鳴りはいつもどおり。

もう、当たり前になりすぎた。

それよりも、気になっている。

「苦しさ」

そして、

「めまい」

いつものように朝の支度をする。

「苦しさ」も「めまい」もない。

いつもの朝だ。

電車に乗るために、ホームで待つ。

いつものことだ。

ところが…電車がホームに入ってくるアナウンス。

「苦しい…」

そして、

「めまいが…」

必死に深呼吸。

マスクを外し、深呼吸。

周りの目を気にしている余裕はない。

ホームに電車が入ってきた。

「苦しい」

落ち着かない。

電車が停止した。

なんとか乗り込んだ。

だが、しかし…

「乗り込んでしまったら、外へは出られなくなる」

「怖い…」

深呼吸。

深呼吸。

席に座れた。

深呼吸。

深呼吸。

少し、落ち着いた。

電車が動き出した。

なんとか乗れた。

乗れた。

「乗ってしまった」

「もう、降りられない」

深呼吸。

深呼吸。

これはまさに、拒否反応。

不登校ならぬ出勤拒否。

こんな日が来るとは思ってもいなかった。


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