#2 地獄のはじまり

01 黒歴史




それは突然おとずれた。
「今から、学年会をします」
生徒が下校してすぐのこと。
何も聞かされていない緊急の学年会。
実はこの学年会は、前日に決まっていた。
それを知っていたのは、学年主任と一部の担任。
そして、校長。

議題は一つ。
私の顧問としてのやり方について。

私は赴任してすぐ受け持ったクラブは、前年から崩壊していた。

先生達も生徒達も、口を揃えて言う。
「ちゃんとしていないクラブ」
だった。

その再建を任された。

練習を見るたびに
「やる気が感じられない」
「クラブじゃなく、遊び」
そう感じた。

しばらくして、大会が近づいてきたこともあり、私はミーティングを持つことにした。

それは、
「遊び感覚でクラブに参加している部員」

「まじめにしたい部員」
と意思を統一するためだ。

さてミーティングを行った。
私としては、部員各自の想いが聞けてよかった。
実は3年生同士の意見が対立し、涙を流す部員もいた。
しかし、その涙は、いままで辛い想いをしてきた結果だと思った。
これでいいのだ、と私は受け持ったクラブの再スタートを切るための、良きミーティングになったとおもった。
実際に、涙を流した部員は、これまでの試合とその反省を書き記したノートを持ってきて
「これ、見ておいてください」
と渡してきた。
そのノートには
「一生懸命したい」
そういう想いが詰まったものだった。

ところが、である。

このミーティングが波紋を生んだ。

2年生のある1人の部員が、学年主任に話をした。

「新しく来た顧問の先生のやり方に納得できない」

本来ならば、当事者である私に事情を聞き、どうしていくか考えることである。

ところが、このとき、私には全く聞かされず、2つのことが秘密裏に行われていた。

校長への相談と、その1人の部員への担任からの聴き取り、である。

当事者の私の想いや見通しなど聞くことなく、秘密裏に進められ、いきなりの学年会。

その学年会は、出席した人曰く
「公開裁判」
ある1人と部員が言ったことが絶対。
私が言ったことは、否定された。

「先生はそういう想いで言ったかもしれないけど、部員達は違う捉え方をしている」
「このままではいけない。もう一度ミーティングをすべき」

全く意味不明である。

先生達は味方なのではないのか?
当事者と想いを無視して、1人の部員の意見を全面的に肯定するが?

訳が分からない状況で、とりあえずミーティングをやり直すことで、学年会は終わった。
ミーティングをやり直すことに、なったのは
「校長も、そう言っているから」
と学年主任がさも正しいかのような態度で締め括ったからである。

学年主任と1人の担任以外の人は聞いているだけ。
私は生徒指導担当に話を聞いた。

「この会議をすること、知ってました?」
「いや、知らなかった」
「そうなんですね。じゃあ学年主任と校長の考えなんですね」
「そうみたいやなぁ。でも、うちのクラスに、部員がいるけど、そんな文句言ってなかったけどなぁ」
「そうですよね。あのミーティングの後、ノート持ってきた3年生もいたし、2年生の他の部員は、しっかりと意見言ってくれたし」

心は晴れないが、ミーティング自体には問題がない。
誤解をしている部員がいるなら、もう一度ミーティングして、きちんと理解させたい。
そう思い、ミーティングをもう一度やることには全く抵抗はなかった。

ところが、である。

校長室から戻ってきた学年主任が言った。

「明日のミーティング。入らせてもらいます」

入られることは何も問題はない。

問題なのは
「信用してないのか、学年主任と校長は!」

翌日、2度目のミーティングに臨んだ。






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