赴任早々、理不尽な仕打ち。
私の想いや意向を聞こうとしない学年主任と校長。
反撃をしつつ、私は仕事をするのみの日々。
そんな中、分かったことがある。
私は手を抜くことが出来ない性分だ。
とにかく、準備、準備。
そんな日々。
ところが…行き当たりばったりの人がどれだけいるか。
私は、ちゃんと働いた。
当たり前だが、それが当たり前ではない職場なのだ。
すると変化が起きた。
建て直しをめざしたクラブ。
建て直しつつあった。
「去年と全然違う」
同僚、そして周りの生徒の言葉である。
そう、私の熱心さが伝わったのか、クラブが変わりつつあった。
夏休みに入り、他のクラブがしていないことを導入した。
「自主練習」
午前中にクラブ。
それはどこのクラブも。
そこに、午後の自主練習を入れた。
自主練習はあくまで自主。
やりたい部員だけする。
参加は全部員の3分の1。
それぐらいがちょうどいい。
一人ひとりをしっかり見ることが出来る。
部員に応じた練習が出来る。
ハードな練習が出来る。
やる気がある部員が参加するからだ。
猛暑の中、やる気がある部員だけ残り、自主練習を毎日行った。
それは、職員室でも話題になった。
クラブからの自主練習。
ルール的にも問題ない。
私は真っ黒に焼けた。
部員達も焼けた。
暑い夏だった。
私と部員達の暑い夏だった。
しばらくすると、同じように自主練習をする部が出始めた。
私は思った。
「10年以上、中学校を離れていた者のマネをするなんて…笑」
悪い気分ではない。
そして、夏休みの終わり。
初めての大会。
生まれ変わった我が部。
賞状をもらうような結果をは出せなかったが、あと一歩まで行った。
十分な結果だった。
悔しくて泣いていた部員がいた。
赴任した頃、クラブは遊びの時間だった。
それが夏には
部員が悔し泣きするクラブに。
最高の結果だった。
そのような変化は、少しずつ、私に対する見方を変えた。
そう感じていた。
そして、校長が動いた。
それは、ある日、突然。
学年主任が用事で出かけた。
10分ぐらいは帰ってこない。
そんな用事。
学年主任が出た途端、校長に呼ばれた。
校長室には苦い思い出しかない。
今度はなんだ…
「困ってる担任を助けてやってくれ」
それは、本来、学年主任の仕事だ。
それを私に頼んでくる。
しかも、学年主任が不在のタイミングで。
「はい。わかりました」
私はそう答えた。
当然、やるべきことは分かっている。
そして、校長が、学年主任が不在の、このわずかな時間に、私を呼んだ意図もわかっている。
地獄だと思った奈落の底。
そこから、抜け出す。
この上昇気流は、私の努力と汗の賜物だ。
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