窓際族。
そんな言葉を知ったのはいつの頃だろう。
仕事ができない、など何かしらの理由で、やりがいのない仕事をさせられる。
ほとんど、存在価値を感じない時間を過ごして、定時に帰る。
若い頃にドラマで見た記憶がある。
それを今日、目の当たりにした。
実際に存在したのだ。
今日は時間があったので、若手の仕事を手伝った。
他の人がどんな業務をしているか知りたい。
きっかけは、そんな軽い気持ち。
ところが、私は、見たことのない世界を見ることに。
さて、若手の仕事。
書類の整理と書類の整理。
まずは、書類の整理。
必要な書類がきちんと保管されているか調べる仕事。
若手のつぶやき
「こんなこと、する意味があるのだろうか」
いちおう、あるのだろう。
保管期間中は、保管しておかなければいけない。
でも、それが役に立つことがあるのか。
ほぼほぼ、ないであろう。
そういう仕事をするのは、まさに窓際族。
若手がイライラしているのが分かった。
私は、努めて明るく振る舞った。
だが、若手の機嫌は良くならない。
それはそうだ。
もっと意味のない仕事が待っているからだ。
もう一つついて行った場所。
そこは、使わなかった体育館のような建物。
そこに到着する。
「ここで何か仕事があるのか?」
そう感じながら、体育館のような大きな、そして古びた建物の中へ。
中には、使わないであろう色褪せた書類の山。
建物いっぱいに積まれており、書類の山の間を通っていく。
そして、たどり着いた。
保管期間を過ぎた書類の処理。
先程、イライラしていた若手。
そのイライラは無くなっていた。
そのかわりに口から出てきたのは、
ため息
そして、
「何で、自分は都道府県教育委員会に来たのだろう」
元気のない声が書類の山の間を通り抜けた。
私は明るく振る舞うことは、もうできなかった。
黙って、書類を処理した。
そして、しばらくしてから、戻る時がきた。
建物から出ると、建物にある狭そうな部屋の灯りがついていた。
「あれ?誰かいる」
処理する書類がただ置いてある建物。
そこにも人がいた。
「ここを管理している人達の部屋です」
若手はつぶやくように答えた。
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