「戻って来たら連絡してください」
「わかりました。戻ったら連絡します」
「今度、大丈夫ですか?」
「先週戻ったのですが、再び離れました」
信じられない。
だが、代わりの仕事の日はやってきた。
代わりに参加。
それ自体は嫌ではなかった。
初めての経験。
知らなかった世界。
こういうことを知るのは嫌いじゃない。
ところが、予期しないことが起きた。
その行事に参加していたら、ある人が近くを通った。
そう、会長だ。
自分の名前を名乗る場面があり、私は耳を澄ませた。
間違いない。会長だ。
少し離れたところから見ていた。
こちらに気がつくかな?と思ったが、全くそういうそぶりは無い。
そうなのだ。
代わりに私が出ている行事について、そもそも関心もないし、申し訳ないという気持ちもないのだ。
顔と名前が一致。
そして、私のことに気づかず。
この仕事を終え、家に帰った。
複雑な思いでLINEをした。
「戻っていたのですね。戻ってきたら連絡くださいね」
「戻ってませんよ。まだ仕事から離れられず…」
いやいや。見ましたよ。
「○○でお見かけしましたよ。私は自治会代表で参加してましたから」
「えっ?行ってませんよ。だって仕事で、戻れてませんから」
往生際が悪い人だ。
私は許せない気持ちとなった。
「名字も同じでしたが、見間違いですかね」
そして、即返信があった。
「それ、別人です!」
「最初から、そんなことだろうとわかっていましたしね」
この人は何が言いたいのだろう。
少なくとも、焦っている。
そして、謝る気もない。
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