私は三十代半ばから、海外ドラマにハマった。
「24」「プリズンブレイク」「LOST」
いくつものシーズンがあり、次のシーズンが配信開始になるのを楽しみにいていた。
私が老眼になったのも、この頃だ。
なぜ、海外ドラマの話をするのか。
今日の朝、思い出した海外ドラマがある。
「ウォーキングデッド」
人間とゾンビの争い、そして人間同士の争いを描いたドラマだ。
もちろん、私がハマった海外ドラマの1つだ。
今日は夜9時まで仕事。
長い1日だ。
夜9時まで仕事をして、電車で帰る。
帰宅は10時を過ぎる。
クタクタだ。
そうなりたくない私が今日チャレンジしたこと。
「ギリギリに出勤」
普段より、1時間半遅く出勤する。
それで夜9時までの仕事を乗り越える。
いつもより遅い7時半に家を出た。
最寄りの駅に向う。
出勤ラッシュの時間だ。
普段通る踏切は避けた。
開かない踏切、そして渋滞を避けたいからだ。
それを功を奏したようだ。
スムーズに車は進む。
最寄り駅近くの月極駐車場に向う。
すると、現れた。
「ゾンビ」
あちこちから現れて、生気のない様子で歩いている。
ウォーキングデッドのゾンビのように、手を前に伸ばしてはいない。
だが、足取りは、まさにゾンビ。
そのゾンビがあらゆる方向から現れて、車を避けながら、歩いている。
ゾンビ…そう、私の最寄り駅から、職場に向う人達だ。
私はゾンビをかわしながら、道を進む。
始業時間ギリギリの電車を目指している私にとって、乗り遅れることは許されない。
次から次へと、現れるゾンビ。
「よけていくだろう」
とは思っているが、接触したら大変だ。
時間を気にしつつ、スピードを抑え、無事駐車場に到着。
「ウォーキングデッドだった」
とエンジンを停車した車内でつぶやく。
歩いて駅に向う。
時間に余裕はない。
私は車の間をすり抜けた。
私もゾンビだ。
いつもより1時間半も遅く出発したので、いつもより朝の時間が長かった。
炭酸水を飲み過ぎた。
尿意をもよおし、トイレに入る。
時間的にはギリギリだ。
用を済ませ、手を洗いにいくと、押し寄せてきた。
ゾンビの群れ。
手洗い場の狭いスペースにはゾンビが押し寄せていた。
体を横に向け、ゾンビを避けて、手を洗う。
再び、体を横に向け、ゾンビを避けて、トイレから出た。
次は、通勤ラッシュの電車から出てきたゾンビの群れ。
最大のピンチ。
私は、唯一の人間。
ゾンビの世界で、生き抜く。
そう思いながら、ゾンビの群れの中へ。
掻き分けながら進む。
私は、ゾンビの群れを突破した主人公。
いや…ゾンビに襲われなかった…
私もゾンビだ。
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