当日を迎えた。
「ラスボス対ボス」
私はあくまでも黒子。
資料を準備した。
ラスボスとボスの都合を合わせ、予約した。
私は黒子。
ただただ、資料を手に持ち、座っている。
「ラスボス対ボス」
特等席で見る。
のはずが、
「遠慮なく発言してくださいね」
迷いの中、その時を迎えた。
「ラスボス対ボス」
それは和やかな雰囲気で進んでいった。
「こんな雰囲気なんだ」
新鮮さ。
そして…複雑な思い。
これまで、自分を犠牲にしてきた。
資料の準備、予約の調整。
そんなこと、今のこの場所では、全く感じない。
「行政」
学校にはなかった、明らかな地位の差。
私達は汗をかく。
ただひたすら汗をかく。
冷や汗も、涙混じった汗も。
それが、目の前では、楽しげな会話となっている。
「仕方がない」
「これが、この世界」
そう思っている間に、時間は過ぎていく。
膨大な時間と苦労は、わずか10分で終わりへと近づいている。
あと5分で終わり。
そんなときに…我がボスの分からない質問がラスボスから。
ボスから
「どうでしたか?」
私へのパスが来た。
前日、ボスは言った。
「遠慮なく発言してくださいね」
ここか。
基本的には資料を持って参加するだけで、発言はボス、と聞いていたが、これは発言するしかない。
私は、答えた。
確信がないことだったが、そう問題となることではない。
他愛もない質問。
そして、私は答えた。
ふと、気になった。
なんとなく、ではあるがラスボスの視線に、冷たさを感じた。
「やはり、発言しない方が良かったのでは?」
内心、そう思っていた。
そして、このまま、制限時間になろうかというとき、再び、ラスボスの質問に対して、ボスの口は閉じたまま。
そう、この質問は、確実に私が答えなくてはならない。
「こんな展開、聞いてない」
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