学習会の会場である学校に到着した。
あの親切な校長に出迎えていただいた。
そして、今日の学習会の協力をお願いした若い先生が現れた。
会場の機器やICT環境について、事前に連絡を取っていた。
とても丁寧で、好感の持てる先生であった。
だから安心していた。
会場として使う教室に行くと、思っていたよりも使いにくい状況であった。
「とりあえず、準備をした」
そんな感じであった。
学習会用のプレゼンの準備を整えていると、参加者が少しずつ集まってきた。
その中に、「あの学習会担当者だな」とわかる声が聞こえた。
こちらに近づいてくる気配はない。
校長に指導されたその時は、丁重で丁寧であったが、結局はその時だけか。
学習会前に、その担当者から、話しかけられたのは1度きり。
「よろしくお願いします」
それだけだった。
学習会が始まると、学習会の協力をお願いしていた先生が機器の操作をしてくれた。
してくれた、のだが、あまりスムーズには、できない。
「慣れていない」
そう思った。
学習会の前半は順調だった。
後半に行った実習は失敗だった。
時間設定がまずかったのか。
課題の設定がまずかったのか。
当然、私自身に反省点はある。
しかし、思った。
「参加者は、この学習会に前向きではない」
ICT環境が整っていないが故に、ICTを使い慣れていない。
実習中も「どう操作したらいいの?」という会話。
活用以前に、使い方を学習すべき段階だ。
後半の実習は、ただただ時間が過ぎることを待つ時間となった。
私の話を熱心に聞いてくれている人もいた。
ただ、参加者の多くのニーズには応えられていない、そう感じた。
学習会担当者は、仕切りに下を向いて、何かを書いていた。
学習会の記録なのだろうか。
それにしては、顔を上げている時間が少ない。
私が動画を流しても、その動画をわずかな時間見ただけで、また何かを書いていた。
学習会が終わった。
私の初陣は悲しき結果となった。
根本的な問題。
それは、参加者のニーズを掴めなかったこと。
独りよがりのプレゼンではいけない。
次の講師依頼はいつであろう。
その時はニーズ調査を念入りに行う、そう誓いながら、帰路に着いた。
反省点があるものの、一仕事を終えて安堵する私。
すると、電話が鳴った。
「至急、戻ってきて相談することがある」
試練の夏は始まったばかりだ。
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