転落 #3

08 転落




2日目。
電車の中。
落ち着かない。

切符をなくしてはいけない。
ジャケットの内ポケットか。
財布に入れておくか。

車掌が乗車券の確認に来るかもしれない。

「目的地に着くまでは、安心できないな」

何度も自分に言い聞かせる。
心を落ち着かせるために。

でも、つい心が奪われる。
車窓から見える景色。

4月から、苦労してきた。
一年目から、多忙を極めた。

いろいろな人を恨んだ。
自分の人生を恨んだ。

ご褒美のような、車窓からの景色。

暑かった夏。
そして、秋から冬へ。

変わりゆく季節を感じる景色。

楽しみながらも、切符と時間を気にしながらの出張。

そして、目的地に無事到着。

まずは、夕方に会合がある。
無事に目的地についた安堵感とともに、ワクワクした気持ちの自分に気がついた。

「どこかで遊ぶ」

慣れていくとそうなるのかもしれない。
そんな高揚感が心を支配しそうだ。

初日の会合を無事終えた。
明日がメインの会合だ

早めに宿泊のホテルで、ゆっくりしたい。

だが、予想以上に人が多い。

移動するにも、人、人、人…。

しかも、宿泊のホテルを探しながら。

周りの人達は、迷いなく歩く。

私は迷いながら、ようやく宿泊のホテルへ。

ようやく到着。
安堵感。

しかし、現実に戻された。

「夕ご飯をどうするか」

また、あの、人混みの中、何を食べる探さないといけない。

「お腹が空いて、元気が出ない」

しかし、私は1人。

折れそうになりそうな心を、なんとか奮い立たせる。

ホテルの部屋から外へ。

やはり人、人、人…。

飲食店も、人、人、人…。

コンビニを見つけた。

おにぎりとカップラーメンと酎ハイ。

私は、こんなところに来て、コンビニ飯。

早く休もう。

明日はメインの会合だ。


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