転落 #9

08 転落




8日目。

「来年度の日程の提案」

急がなくてはいけない。

「遅れをとっている」

そう焦る気持ちと、来年度の日程をいい加減にはできないという気持ち。

「ヤバい。常に不安が心にある」

モヤモヤ。
ずっとモヤモヤ。
こんな精神状態は初めてだ。

心を落ち着かそうと思っても、どうにもならない。

悪いときには悪いことが起きるものだ。

私がサブで入っている業務で、大事な仕事がやっていていた。

「何か、手伝うことはありませんか?」

何気なく聞いた。

それが、私を窮地に陥らせた。

サブで入っている2つの業務。

主担当は、どちらも心配な人。

だからが故に、声をかけたのだが、どちらも困っいる。

「任せておけない」

そう思ってしまうのが、私の悪い癖。

私自身、それどころではないのに…。

私は大きな業務を2つもっている。

それをしなくてはいけない。

なのに、他の人の手助けをする羽目に。

そもそも、この2人で、相談すればいい。

同じ分野の業務で、2人が相談して進めていけば、お互いにとって良いはず。

私は、それぞれの副担当。
もっと言えば、この2人との3人の中の「3番目」

そう。
2つの業務の主担当だからだ。

この2人が相談、協力していけば、私に出る幕はない。

だが…2人の仕事がなかなか進んでいかない。

「私が主担当の業務をしている間、この2人は何をしているのだ」

そう思うぐらい、仕事が進んでいない。
 
久しぶりに話をしても
「あれ?僕と話をして以来、何も進んでいないのでは?」

不思議に思っていると、業務終了の時刻。

「スライムくん」と退庁した。

駅までの時間。

私は、質問した。

「あの2人、相談して業務を進めたらいいのに」

「私が自分の業務をしている間に、協力して進めればいいのに」

スライムくんが発した言葉に私は耳を疑った。

「あの2人が話をしている姿なんて、めったに見ないよ」

私は、転落し始めていた。


コメント

タイトルとURLをコピーしました