出勤拒否 #8

09 出勤拒否




1年目がようやく終わる。
来年度も今までに誰もしたことがなかった大きな2つの業務の兼任。

「それはおかしい」
そう訴えに言ってくれた人がいた。

上役のみで検討会議が持たれたときも
「今年度は無事終わりましたが、さすがに2年連続はやめておきましょう」

誰もが、業務分担の偏りに異論を唱えた。
前列のないことを、今年度で終わるのではなく、来年度も継続する…なぜ?

課長曰く
「今年度よりは軽減されている」
「慣れた人がする方がいい」

今年度より軽減差れている…そもそも今年度が異常。
それと比較するのはおかしい。

軽減…といっても、大きな2つを兼任し、小さな業務がより小さな業務になった。
それだけ。

慣れた人がする方がいい…それはそうだ。
でも…言い方がある。

「今年度の働きぶりから、引き続き任せたい」
「軽減しているから、大きな業務の2年目でさらなる改革を期待している」

せっかくなら、私を気持ちよくさせてくれたらいいのに。

訴えに言った同僚がつぶやいた。

「受け入れてもらえなかった」
「力があるから、任されるということか…」

悪い気はしない。

そんな思いを持ちつつ、今年度の終わりが近づいていた。

ただ、気になっていることがあった。

大きな業務の1つ目は今年度同様、来年度も主担当。
もう1つの大きな業務は、5つの課が集まり、総勢20人の合同プロジェクト。 

その合同プロジェクトのプロジェクトリーダーをまだ聞かされていない。

合同プロジェクトのリーダー。
当然、他の業務は軽減される。

かなり、軽減される。
5つの課の合同プロジェクトだからだ。

私はない。
今年度、そして来年度も「いちメンバー」としてプロジェクトに参加する。

それにしても、誰がリーダーをするのか発表がない。
ただ、もう見当がついている。

明らかに業務が少ない人が1人いる。

間違いない。

そして、3月30日。
もう今年度も終わりだ。

明日、3月31日に休暇をとるものもいる。
このメンバーが揃うのは最後。

朝の打ち合わせでも、課長から、1年間の労いの言葉があった。

私も、机など整理整頓をして、午後にある来年度の打ち合わせに参加した。

打ち合わせが終わったのが15時半。
自分の席に戻り、同僚と談笑。

また4月から忙しい。
つかの間の休息。

トイレに向かった。
時計は16時まであと少し。

トイレから戻る。
もう1時間ほどで、今日も終わる。

忙しい1年目。
苦しかった1年間。

ようやく抜け出せる。
再び談笑。

今日ぐらいは許してくれるだろう。

ふと気がつくと、課長が私のところに来ていた。
「ちょっと話があります」

課長の後をついていく。

人気の少ないところまで連れて行かれた。

「おしゃべりが過ぎたか?」

「今日は少しぐらいいいでしょ」

そう思う私。

どんなふうに注意されるのか…まあ大したことではない。

笑って謝ろう…。

ところが、課長の口から予想だにしない言葉が…。

「来年度、合同プロジェクトのリーダーをしてもらいたい」

まさか。

そんな…。

まだ2年目…。

しかも大きな2つの業務を兼任して、なお合同プロジェクトリーダー…。

あり得ない…。

放心状態の私が席に戻った頃には、時計は17時を回っていた。


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