試練の夏#3

06 試練の夏




都道府県教育委員会に来た私。
昨年度末、教頭試験に受かり、「いよいよ管理職か」と思っていた私。

そんな私がまさかの「都道府県教育委員会」
青天の霹靂。
これほど、ピッタリな言葉はない。

そもそも、都道府県教育委員会がどのようなところか全くわかっていなかった。
そう、興味がないし、自分には関係のない世界だと思っていたからだ。

教育委員会に憧れたことがある。

組合の役員をしていた時、教育委員会との交渉があった。
教育委員会の提案は、洗練されていた。

組合の提案は、古く感じた。
「憲法9条」「自虐史観」

組合の役員の仕事に、やりがいを感じていた私。
しかし、それ以上に、教育委員会の先見的な提案に私は魅了された。

「組合ではなく、教育委員会で自分を試したい。」
そう思う時期があった。

そう思っている間、その話が進んでいたことを知った。
だが、いろいろな巡り合わせの結果、実現しなかった。

指導主事になるという確信

私は、管理職を目指すことになった。
そして、教育委員会への思いは消えていった。

そんな私が、都道府県教育委員会への異動が決まった。
周りは異口同音に

「地獄」
「夜中まで灯りがついている」
「ノイローゼになる人がいる」

2月3日。教育委員会という世界 その噂

そんな時、こんなことを聞いた。

「都道府県教育委員会の事務所だと、楽だぞ」

そう、各ブロックの事務所。

そこは、授業について指導、助言をおこなう。
アドバイザー的な仕事。

要請を受けて仕事をする。
授業について•••私は興味があった。

しかも•••定時には帰宅できるらしい。

「そこに行きたい」
「そこの方が、私の力が活かせるのではないか」

そう思っても、人生はうまくいかない。
事務所に行くことなく、私は都道府県庁へ。

都道府県教育委員会に来て、わかった。

都道府県教育委員会から、ブロックの事務所に異動した人たちが少なくないこと。
何年間か都道府県教育委員会に勤めてから、ブロックの事務所に異動する人がいる。

「支店みたいなものか」
そう私は言った。

それに対して、先輩指導主事が言った。
「それは少し違う」

「あなたの前任者は、ここから1年で事務所に行った」
「あの人は、限界だった」

サバイバル。
この言葉を使ったのは、いつ以来だろう。

サバイバル。
つまり•••今の仕事をこなせなければ、事務所に行く。

ブロックの事務所に依頼すべきことが、私にやってきた。
それには、いろいろな事情があるのだろう。

そして私は思った。
教師人生の最後に、挫折は味わいたくない。

そして、生き残れなかった者と、烙印を押されたくない。

私は決意した。

「生き残る」

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